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私の好きなウイスキーの世界や、Barでの出来事を通じて、

特に女性に興味を持って頂いたら嬉しいです。

単独インタビュー第3弾「秩父蒸溜所マッシュマン 門間 麻菜美さんを迎えて」中編

心配された肥土さん登場。

 肥土さん:順調かい?

 門間さん:入社する前、ボスと何回メールのやり取りをしたかな?

 肥土さん:覚えてないね。断れば来る、みたいな感じだったよね。

 門間さん:わりとしてたよね。メールが来たら、返す、来たら返すだったよね。

 肥土さん:それで断って...。

 K:何回位メールやり取りをされたのか知りたかったのですが、細かくなくて宜しいですから。それで、結局何回位お断りされたのですか?

 門間さん:2回じゃないの?

 肥土さん:要は、何回か断って、遠回しに断っていたのですよ、他の職を探せって。

 門間さん:その1回じゃないの?

 肥土さん:でもその後蒸溜所も立ち上がっていないし、働く場所がないよ、と。

 門間さん:したした。

 肥土さん:それでもそんなに好きだったら、又それでも何か出来る事があったら連絡して来てくれという話で...

 門間さん:「建てる」っていう事は、「建つ」と言う事でしょ?だったらその後仕事が出来るじゃないと私は思った。

 K:前向きな気持ちでね。

 門間さん:立ち上げ中と言うから。

 肥土さん:立ち上げる為のお手伝いが出来ないですか?という話に変わって来て、そこまで言うならとりあえず会うだけ会ってみて、且つウイスキーが好きだという事だったので、当時軽井沢でウイスキー作りを誘ってもらっていたので、そこに見学に来てもらって、それでウイスキーが好きだという事は、もし断ったとしてもウイスキー作りが見れたのだから、多分喜んで帰ってくれればそれで良いなという感じで思っていた。

 門間さん:え?なるほどね。

 K:今気付いた感じる事も?(笑)。

 門間さん:なるほど、なるほど(笑)。

 肥土さん:実際会って、実質それが1回目の面接で初めて会ったので、それから総合的な話をして「本当に作りたいんだ」と。ま、かつて会った人は皆「就職したいです」、「ウイスキー作りをしたいです」と言うけれど、本当にウイスキーが好きかどうかという事が...でもそれが伝わって来たので、だったらこういう非常にハードルが高いし、けれどもやる気があるかどうか確かめて、それでも「ある」という事だったので、入社前からイベントも色んなイベントも手伝ってもらって。

 門間さん:イベント行きましたね。武蔵屋さんも、ライヴ(ウイスキーマガジンライヴ)も入社前でしたね。

 肥土さん:入社前にライヴも手伝ってもらいました。

 K:肥土さんの門間さんの最初のイメージはいかがでしたか?

 肥土さん:ん?イメージ?

 K:最初お会いした時の第一印象ですね、メールのやり取り通りでしたか?

 肥土さん:そうですね。だけどリクルートスーツで、ヒールなんか履いて来て...。

 門間さん:超大変だったんですよ。行った後、スーツで来なきゃ良かったって思いました。

 肥土さん:結局裏方の仕事をしてもらって、行ったり来たりしてもらったので。

 門間さん:よくあれだけ高い所に乗ったと思います。失敗した(笑)

 K:メールのイメージ通りでしたか?

 肥土さん:そうですね。やはり本気でウイスキー作りをしたいという思いは伝わって来ましたね。 

K:そこで女性を採用するという事に抵抗はなかったですか?全くなかったですか?

 肥土さん:と言うのは、力仕事は大変だろうなと思いましたけれど、でもそれは役割分担をすれば良い事だろうと思いました。

 K:それよりも気持ちを重視されたという事ですか?

 肥土さん:そうですね。やはりベンチャー企業で立ち上げて、休みもないだろうし残業ばっかりだろうし、何だかんだ言っていられない状況の中できちんとやってくれる事が大事だったので、気持ちでしょうね。

 K:だそうです、門間さん。

 門間さん:なるほど。

 肥土さん:私へのインタビューになってきてしまったみたいですね(笑)。

 門間さん:色々と思い出して来た。

 K:本来ならば、肥土さんを先にインタビューさせていただく事が筋かと思いましたし、門間さんも「先にボスでしょう」と仰っていましたが、ここは女性の意見も伺いたかったのです。女性で自ら飛び込んで行った門間さんをインタビューさせて頂きたかったのです。門間さんの事は語り継がれているところもあるのですよね。肥土さんの情熱も勿論そうですし、門間さんとのやり取りもそうですし。

 門間さん:でも普通じゃないですか?大学だって入りたいと思ったら勉強するわけですしね。

 肥土さん:それではそろそろ。

 門間さん、K:肥土さん有り難うございました。

K:それでスコ文研の試験(ウイスキーコニサー)を受けられたきっかけはその中の流れ、肥土さんにアプローチの中で試験を受けられたのですね。

 K:Q5 蒸溜所のスタッフとして、日本の蒸溜所での女性スタッフは初と伺っておりますが、(もしかしたら実際は他にもいらっしゃって表に出ていらっしゃらないだけかもしれませんが)実際に飛び込まれていかがですか?ある意味男性社会と言うと所もありますよね?

 門間さん:今の所は...樽転がしが難しいですかね。バットサイズになると、重いですから転がす事は出来ても段差に苦労します。バレルは出来ますし、ホグスヘッドも頑張れば出来るかな。バットサイズになると中身が入っていたら出来ないですね。

 K:バットサイズになるとどの位入るのですか?

 門間さん:450リットルは入りますから、500リットル位ですね。ですが全部は入れる事はないので、大体400リットルか450位ですかね。樽によって色々とありますが、結構重いですよね。 引っ張っても全然動かないですもの。

 K:その時はどうするのですか?

 門間さん:その時はボリさんに頼みます。

 K:ボリさんとはどの方ですか?

 門間さん:メルシャンの工場長だった方です。ボスと初めて会った時にも内堀さん(ボリさん)に会っていたのですよ

 K:甘えていらっしゃらないと思いますが、助けてもらえてしまう所はありますか?

 門間さん:ありますけれど、私あまり助けてくれとは言いたくないので、あまり言わないですね。むしろ入って来ないでくれと言いますね。

 K:私も門間さんに近い性格ですからとても分かります(笑)。ですが、お仕事をしていく上で段々と、たまには男性を頼った方が良いのかなと思う所も出て来ますよね。

 門間さん:結構手伝ってもらいますよ。「ちょっと手貸してもらえるかな?」と言ったりして。

 K:男性の中で働くという事は、甘えるという事ではないにしろ女性として出来る事等のバランスの様なものは感じますか?上手く伝わらないかもしれませんが。

 門間さん:分かります、自分の出来る仕事と出来ない仕事の判断は出来ると思います。でもそんなにないですよ。

K:先程門間さんが麦芽を入れる作業をされている所を拝見致しましたが、私がご一緒していた方(蒸溜所見学者)が、そちらの作業をご覧になって「女性なのに大変そう」と仰っていた方もいらっしゃいましたが...。

 門間さん:でも持ち上げられるのは嬉しいですよ(笑)。

「女性なのに、あんな重い物持つ事が出来る人」と思って頂けるのは。25キロの物を持った位で、です。

 K:そうですね、その様な考えた方もありますね。

 門間さん:実際働いている時は勿論そう思っていないですよ。お客さんがいた事も気付いていなかったですから。

 K:勿論そうですよね。

 門間さん:あれをしないといつまで経ってもマッシング出来ないので、とても大事な仕事なのですよ。

 K:上を見ていらっしゃいましたが、上を見ていらっしゃると調整が分かるのですか?

 門間さん:分かります。上を見ていると麦芽が落ちて来る所があるので、入り具合を調整する所があるのです。それがあまり多過ぎてしまうとミルの方が処理出来なくなってしまって、詰まってしまったりするので、きちんと流れているかを見てあげないといけないのです。今回は麦が初日だったので、尚更見ないといけなかったのです。何かあった場合すぐに止められるようにしておかないといけないですし。上を見るのは癖ですね。そして下も流れている所があるのですが、そこも見て「大丈夫、大丈夫」と思っています。

調整は4つダイヤルが付いているのでそこで調整するのですが、それを合わせて粉砕割合を決めていきます。

 K:最初から出来るものですか?慣れるまでの期間等あるのですか?

 門間さん:2008年当初は、スタッフ全員で調整をみていました。皆で粉砕して、勝手に「ミルボックス」と呼んでいますが、ふるいを使って割合が7:2:1になる様にします。ローラーの幅を開け過ぎて麦がそのまま出て来てしまった事もありますし、普段ローラーはいじらないのですが、麦が変わった時に変えます。麦の品種も違えば粉砕の割合も変わって来るので、新しいコンテナが入る時に私がするんですけれど、コンテナで入って来る度にするので、何回もすればする程経験値も上がっていきます。

今これは私の仕事です。

 緊張するのは、初日、今日ですね。(インタビューの当日麦が入って来ていました。)

後1週間は割合調整とマッシングの引き抜き具合を見ながら、調整するように方向性を決めていきます。マッシングにしてもミルの幅にしても。

 K:そうなのですね。お話をまとめますと、女性が飛び込んでみて難しいと感じる所は、シェリーバット転がし位でしょうか?

 門間さん:後はリフトもあるし、問題ないですね。

K:Q6 門間さんのお仕事の役割を教えて頂けますか?又それに伴ってご苦労と喜びをそれぞれ教えて下さい。

 門間さん:役割と聞かれると難しいですね。

 K:マッシュマンで宜しいのですよね?

 門間さん:何でもやりますよ。花の水やりもしますしね。

 K:マッシュマンのお仕事を簡単に教えて頂けますか?一言で伝えきれないと思うのですが、分からない方にも分かる様に教えて下さい。

 門間さん:そうですね。(考え込む門間さん)何ていうのかな。準備段階の仕事ですね、私の仕事は。アルコールには関係ない仕事ですから。

K:アルコールに関係ない、ですか?

 門間さん:醗酵をしないとアルコールにならないので、勿論酵母を入れて醗酵させるので、そこから私の仕事でもあるのですが、実際にミリングとマッシングからはアルコールは出来ないのですよ。準備段階の仕事ですから、すごく大事な仕事です。糖分を取る事と綺麗な麦汁を取る事が、質の良い醗酵に行く為の最高の準備をしてあげる仕事なので、麦の品種が違うと引き抜き方、初めての方には何と言えば良いかな...準備ですよね、要は。その工程を取り除いてしまうとウイスキーにはなれないので。

 K:そうですよね。

 門間さん:マッシングの仕事は単純な作業ではありますが、簡単ではないのですよね。化学的に分析するとすごく難しくてまだまだ私は勉強中なので、分からないのですが、丁度良い温度にしてあげて美味しい麦汁を取ろうという事、なので温度を探る事と綺麗な麦汁を得るのが仕事かな、良い麦汁を取る事が私の仕事です。マッシュマンから見ると、です。

 K:マッシュマンの担当になられたのは何故ですか?肥土さんからですか?

 門間さん:そうですね。ですが、性格的には合っていると思います。

 K:何と比べてですか?

 門間さん:スチルマンと比べてです。

 K:それはどうしてですか?

 門間さん:スチルマンをやった事がないので分からないですが、何かこう麦と会話していると言ったら変に思うかもしれませんが...

 K:何となく分かります。 

門間さん:よくボスと話すのですが、今日ちょっと麦の調子が悪いみたいなんだよ、とか。昨日飲みすぎたからなのかなとか、私の腕もあるんですよ、連日飲みすぎちゃって、とか。多分意識していないんですけれど、私が違う方向に気持ちが向いていると麦たちの動きが違うんですよ。今日遊ばれているなとかあるんですよ。こういう話をしていると変な人だと思うかもしれないんですけれど。

K:その様な事はないです、分かります。

 門間さん:でも内堀さんがやるとスーと出来るんですよ。人を見てるんだよと言われるのですが、本当にあると思っています。私はたまにそういう時がありますね。「今日は頼むよ」と言ってみたり、神頼み的な麦頼み的な時がありますね。今日はどうなの?とか話し掛けてみたりして。そういう事はよくありますね。

 K:でもお花も話し掛けると成長すると言いますよね。そのままだとそっぽ向いてしまう所が愛情を掛けて話し掛ける事によって、綺麗に咲くと言いますから、全くないとは言えないですよね。

K:Q7 お話は変わりますが、門間さんの朝出勤されてからの流れを教えて頂いても宜しいですか?

 門間さん:朝出勤をしてメールチェックをして、シーズンオンの時で良いですか?

早番と遅番があって、早番だと6時半か7時に入って、遅番だと16時半出勤ですね。通常だと8時に出勤して、8時半位からミーティングがあり、昨日の報告とか動きの話やお客様がいらっしゃる等の話をして、そのまま私は現場に行きます。即マッシングに取り掛かります。

お昼に出て、第二麦汁か第三麦汁位に、色々タイミングが違うのですが、その間に醗酵の分析をしたりほとんど現場にいますね。又次の日の麦を粉砕して、又次の日の為の麦を運んで来たりとか。ほとんど準備をして過ごす感じですね。18時位には上がれますね。その後、色々話したりしますけれど。

 K:そう言えば、肥土さんはお休みを取られていらっしゃるのですか?

 門間さん:ボスはほとんど取っていないですね。「取っても良いよ」と言っているのですが。

 K:それではご苦労と喜びをお願い致します。

 門間さん:苦労...。

 K:苦労はいちいち人に話すものでもないですからね。

 門間さん:今のところはないと思います。

 K:それでは喜びをお願い致します。

 門間さん:やはりニューボーンですかね。自分が作ったものが商品になると嬉しいですよね。「これ私が作りました」みたいな。ラベル初めて貼った時も嬉しかったですよ。喜びはいっぱいありますね。麦芽がかじれるのも嬉しいですね。

そうですね。今回ミルの中にグリスアップしたのですけれど。

 K:グリスアップ?

 門間さん:オイルみたいなドロドロの物を入れたのですが、そういうメンテナンスするのも嬉しいです。そういうのも好きですし、喜びですね。樽転がすのも楽しいですしね。

小さな事が嬉しいですね。

 K:それはとても大事な事ですね。

 門間さん:普段人が触れる事の出来ない環境にいる事が出来るのが嬉しいですし。ミルを開けるのもウイスキー関係者ではなくては開けられないですし。海外の蒸溜所の一般見学以外の所も見る事が出来るのも嬉しいですし、こうなっているのね、という発見も出来る事も嬉しいです。イベントで「これ美味しいね」と言ってもらうのもすごく嬉しいですね、お勧めしたものが「これいいじゃない」と言ってもらえるのも嬉しいですね。嬉しい事はいっぱいありますね。的を射ていない感じもしますが(笑)。(後編へ続く)

※当時のインタビューのまま掲載、移行しております。

但し、こちらでのサイトでの公開は、現在携わっていらっしゃる方のみにしております。

※門間さんは1年程前に退職をされ違う道に進まれておられますが、肥土さんの掲載もございます為、公開しております。

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