「バーハイソサエティにて 2010年5月某日 時刻 青い空から色が変わる頃」
Kaori(以下K):大変ご無沙汰しております。きちんとお話させて頂く事が、とても久し振りの様な気が致します。どうぞ宜しくお願い致します。
元木さん:こちらこそ宜しくお願い致します。
KQ1:それではまずは、ウィスク・イー、ザ・スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサティ(以下ソサエティ)について、知らない方にもお分かりになる様に簡単に教えて頂けたらと思います。
元木さん:ウィスク・イー自体は、アランの蒸溜所が設立された時に、アランジャパンという会社が設立され、日本の事務局として機能し始めました。その当時はまだアランのウイスキーというのは蒸溜されたばかりで、アランモルトはリリースされておらず、蒸溜所がプロデュースしたブレンデッドウイスキー「ロックランザ」や「ロイヤルアイランド」を中心に、アラン島のジャムやチーズを輸入し販売しておりました。それから数年後にウイスキーマガジンの日本の代理店となりました。それと同じ時期にソサエティ日本支部となりました。アランジャパンという社名だとウイスキーマガジンやソサエティ運営に影響があるということで(株)ウィスク・イーとなりました。今はスコットランドのモルトウイスキーの輸入を中心に、ウイスキーマガジンの発行、愛好家団体のソサエティ日本支部の運営やウイスキーイベントの企画運営を行う会社となりました。
K:はい。
元木さん:まだ当時はモルトウイスキーの需要が小さかったので、啓蒙的なイベントを企画し、エンドユーザーを増やしていこうという意味合いの中で、ウイスキーマガジンライヴという今迄にない新しいスタイルのイベントを開催しました。
K:そうだったのですね、はい。
元木さん:第1回目の開催は数百人の規模でした。
K:その頃は青山ですよね?
元木さん:そう、青山ダイヤモンドホール。その時スタッフでお手伝いしに行っていたの。その時は、当時Bar Speyside Way店長だった鈴木さん...。
K:今は、Bar THE MASH TUNさんの鈴木さんですよね?
元木さん:鈴木さんが中心になって裏方をやるので、鈴木さんと友達だったので「ちょっと元木君も手伝わないか?」という感じで誘われたのですが、その頃からですね、ウィスク・イーとの関わりは。子供が産まれたばかりのときに、記念にウイスキーの樽買いを検討していました。知人からアラン蒸溜所が出来たばかりで樽の販売をしていると聞き、アランジャパンへ問い合わせをして、その時に初めてうちの社長と話をしました。
K:ええ。
元木さん:その後、当時働いていたBarに来て頂いて、それからですね。
K:それは銀座でバーテンダーをされていた時ですよね?
元木さん:そうですね。銀座のバーテンダーだった時ですね。
K:THE MASH TUNの鈴木さんとのご友人関係はその前からですか?
元木さん:自由が丘にノアというお店がありました。Speyside Wayの前身ですね。ノアには頻繁に行ってました。モルトウイスキーの専門的なお店も、あまり知らなかったのでノアと、開店した頃の南青山にあるBar Helmsdale(ヘルムズデール)へはよく行っていました。いつもはしごする様な形で。
K:元木さんに初めてお会いした際に、確かそのお話を伺った気が致します。ノア、というお店がSpeyside wayさんの前身だったのですね。
元木さん:初めてスコットランドに行った時に、一緒に行ったのが鈴木さんでした。「スコットランドへ行こうか」なんて誘ってくれたので。
K:そうだったのですね。
元木さん:その頃からだから仲は良いですよ。
K:もうどの位前の事ですか?
元木さん:どの位前ですかね。13~4年前位ですかね。
K:そうしますと元木さん、お子様は今おいくつですか?
元木さん:小学6年生ですから、もう12歳ですね。
K:もうそうですか。
元木さん:来年中学生です。
K:そうですね。そうですか。どうしてもお父様、パパという感じがしないのですが、どうしてでしょうね(笑)若々しいからでしょうか。
元木さん:昔のモルトの会はほのぼのしていて、内輪の会みたいな感じでした。結構みんな子供を連れて来たりして。
K:そうだったのですね。
元木さん:誰かが見てくれていたりするので。横浜のBar THE DUFFTOWNでもそうですし、Speyside Wayのモルトの会もそうでしたし。昔はよく子供を連れて行っていましたよ。今はそんな光景はあまりないですけどね。
K:そうですか。それでTHE DUFFTOWNさんの周年パーティーの時には、皆さんお子様も連れていらっしゃるのですね。
元木さん:その流れですね。
K:皆さん、こう温かい感じで当たり前の様に過ごしていらっしゃるのですね。
元木さん:そうですね。だから結構仲が良かったと思いますよ。ほのぼのでした。
K:ほのぼのですね。その様に考えると。今は、そういう感じは…。
元木さん:今は飲む方も増え、初めて顔を合わせる方が多くなったのでそういうわけにはいかなくなりました。
K:今後又そういう事があっても良いですよね。有り難うございます。そして、ソサエティについてお伺いしたいのですが。
元木さん:ソサティについては、日本支部の設立が1993年です。2008年に15周年記念イベントを名古屋、大阪、東京で開催しました。日本支部の始まりは皆さんご存知の通り当時の天満商店さんがやっていて、その時私も同じバーに勤める後輩とメンバーになりました。ボトリングの本数も多くなかったのか、日本に入って来るのが少なかったのかリストに掲載されているものも少なかったです。結局は更新しないで1年で退会してしまいました。今と比べると入会金も高かったですが、会員というとかなりマニアが多かった気がします。
K:ええ。
元木さん:バーを退職後、スコットランドのアラン蒸溜所で製造の職に就き、滞在していた2年間のうちにソサエティのテイスターの仕事もさせて頂きました。帰国した時にソサエティ日本支部担当としてウィスク・イーに入社致しました。
K:今も変わらず、ソサエティ担当で宜しいのですよね?
元木さん:そうですね。ソサエティがメインにはなっていますが、ウイスキーセミナーの講師や、ウイスキーマガジン日本語版の編集もしております。ホームページのイベント情報には掲載されておりませんが、企業や団体からご依頼を頂いて、ウイスキーセミナーやイベントの企画運営も手がけております。最近ではテクノロジー関係の定例会でウイスキーセミナーの依頼もございました。
K:凄いですね。
元木さん:テクノロジーとかけ離れた、アナログ的な製造方法のウイスキーですが、なぜ伝統的な技法が今日迄残っているのかという事を、その方々にお話し致しました。セミナーのあと、フリーテイスティングを行い、ウイスキーの良さを知って頂く活動をしています。
K:又違う所からどの様になるか分かりませんものね、本当に。
元木さん:そうですね。ウイスキーマガジンやソサエティとしてという枠組みがあると他社とも積極的に協力し合えますし、ウイスキー全体も知名度アップに繋がっていくと思います。
K:そうですよね。本当に柔軟性がおありですよね。
元木さん:例えばウイスキーマガジンとして、「ウイスキーマガジンLIVE記念ボトルのジャパニーズ」を企画した時に、ソサエティもそうですけれど、そういった窓口があるというのは他社であってもウイスキー業界発展のため、積極的に協力出来るのではないかと思っております。
K:以前こちらで行われたウイスキーマガジン10周年記念イベントの際に、デイヴさん(ウイスキーマガジン・ジャパン編集長のデイヴ・ブルーム氏)が、自分達だけではなくて色々な方々と協力し合っていかなければならないと仰っていましたよね。Barの方も協力してもらわないといけないし、周りの皆さんの協力があってというお話を覚えています。その時に皆さんそう思っていらっしゃるのでしょうけれど、声を大にして仰る方も中々少ないでしょうし、デイヴさんが仰る事により、アサヒさんもサントリーさんもいらっしゃいましたけれど、そうかなと思われたのかなと思います。
元木さん:LIVE!というのは、弊社の中では最も大きなイベントで、アジアでも最大のウイスキーイベントです。LIVE!という舞台があるから、奇跡的にできた日本の各社メーカーの原酒をブレンドする企画は感動しました。日本の各蒸溜所マネージャーやブレンダーの方々が同じテーブルに着くという事は、まずあり得ない出来事で、歴史的な事をメイキング出来たわけですよ。感動的でしたね。
K:何年か前ですよね?
元木さん:そうですね。
K:私は参加出来なかったのですが、参加された方々から「あれは凄かった」と、今でもそのお話を伺います。ブレンダー同士が作る...
元木さん:日本の各社が協力し合って、1本のブレンドを作る事を1回やってみようという事でウィスク・イーに他社からブレンド用の原酒が届きました。この原酒を各社ブレンダーに振り分けてブレンドを作って頂きました。
K:はい。
元木さん:いつもいいなと思うのは、ニッカウヰスキーの第3代マスターブレンダーの佐藤さんは、サントリーの輿水さんが作った原酒についてコメントされたり、又逆であったり「こういった風味が中々出せないんだよね」とか、輿水さんが佐藤さんに聞いたりだとか凄くいい絵でしたよ。苦労が一緒ですから。
K:そうですよね。年齢も確か佐藤マスターブレンダーの方が輿水ブレンダーより1つ歳上でいらっしゃって、ほとんど同期で同じ世代だと伺いましたね。以前佐藤マスターブレンダーと輿水ブレンダーとお話をさせて頂いた時、それぞれに「いつかお2人の対談を拝見したいです」と図々しくお伝えした事があります。
まとめますと、ウィスク・イーという会社は、面白くとても楽しい会社だという事で宜しいでしょうか?
元木さん:はい。(2へ続く)
※当時のインタビューのまま掲載、移行しております。
但し、こちらでのサイトでの公開は、現在携わっていらっしゃる方のみにしております。
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