K:Q2次ですが、前後してしまいますが、銀座のBarで働かれていた事について、どの様なBarで働いていらっしゃったかという事と、元木さんが働いていらっしゃった時の銀座と今の銀座がどういう風に変化していると感じられているか、もしお分かりになれば少し教えて頂きたいと思います。
元木さん:初めて働いたのは18歳の時で、バブルの後期だったので忙しいお店でした。銀座のコリドー街にある不二家本社ビルの1階にあった「ヘンリーアフリカ銀座」というお店で、チェーン店なんですけれど、当時アメリカンスタイルで有名なレストランバーで金曜日は外に20~30人の行列が出来る位でした。
K:ええ。
元木さん:とにかく忙しい。
K:スタンディングバーではなくて?
元木さん:スタンディングバーではないですね。
K:それでも並ばれる方が、いらっしゃるのですね。
元木さん:着席で80~100人程座れます。カウンターが長くて20人以上座れました。オーダーは18時位から閉店迄、ほぼ作りっぱなしでした。そこで大箱ならではのスピードみたいなのは覚えましたね。だから作るのは早いですよ。
K:今でも時々バーテンダーになると聞いています。
元木さん:今でも知り合いのBarに行った時に何か作ったりしますよ。
その後6軒のBarに勤めたのですが、最後はセント・サワイ、オリオンズでチーフバーテンダーとして勤務致しました。初めて老舗で働いたのですが、入りの時間が異様に早かったですね。
K:入り?お客様の?
元木さん:出勤の時間ですね。
K:ええ。
元木さん:お昼位に出勤して。
K:ご準備ですよね?
元木さん:毎日大掃除。3~4時間は掃除に時間を要しますね。
K:私も1度伺った事があるので、想像は出来ます。と言いますか、お店の造りは分かります。
元木さん:コテコテのロココ調みたいな。
K:そうですよね。
元木さん:昭和初期に建てられたビルの社交場頭で、大昔は四国電力の役員専用のサロンであったと伺っています。‘70年代に澤井がそのままの内装を引継ぎ、セント・サワイ・オリオンズとして営業を開始致しました。だからあそこのシャンデリアとかは昭和初期ままで、メンテナンスや掃除が大変でした。
K:毎日ですか?シャンデリアも?
元木さん:シャンデリアは、一日1個ずつ全部ばらして掃除します。古いお店って手を抜くと汚く見えちゃうんですよ。
K:はい、そうですね。
元木さん:古き良きみたいなのを残していく、だから徹底的に掃除するために出勤時間が早くなります。
K:開店は何時からですか?
元木さん:お昼位に出勤して、18時開店。だからだいぶ長いですよね。
K:そうですよね。そのまま深夜2時か3時迄ですか?
元木さん:そうですね。今は朝迄やっていますけれど、私が居た時は2時半閉店でした。
K:今は朝迄されているのですか?
元木さん:今は5時迄やっています。
K:今度又伺ってみたいです。
元木さん:そこはオーナーの澤井慶明氏自身が、ホテルニュージャパンの初代のチーフバーテンダーをされた方なので、お客様への接し方はホテルでの接客に近いですね。あとは料理が自慢のお店ですね。特にローストビーフが有名でした。
K:私も頂きました。お食事美味しいですものね。
元木さん:お食事もしっかりできて、コース料理もお出しします。お酒もお料理も充実させるというと、あんまりオリオンズのようなスタイルのお店は少なかったと思います。
K:ええ。
元木さん:銀座の社交場、社交クラブですよね。お客様には、芸能関係の方やスポーツ選手、また皇室の方もいらっしゃいました。
K:凄いですね。
元木さん:芸能人の方がいらしても、特に他のお客様は騒ぎ立てないので。
K:ええ。だから安心して...
元木さん:お食事がてら普段着でいらして、お化粧気もなくて普通に。タクシーを横付けされてぱっと来て、ぱっと帰るみたいな。
お好みに応じてお料理もアレンジ出来るので、毎日のようにお見えになるお客様は「今日はこういうのを食べたいんだけどな」、というご注文にも対応しております。深夜のお客様の中には「お味噌汁が飲みたい!」などという場合にも快くお出ししておりました。
K:元木さんもお料理を作っていらっしゃったのですか?
元木さん:いや、私は作りません。ちゃんとしたシェフの方々がおりましたので。
K:カクテルをお作りになっていたのですね。
元木さん:他の銀座のBarで勤めていたのですが、そのお店が突然閉めちゃうという事で当時、保志さんがいたリトルスミスへやけ酒を飲みに行った時に「ちょうど良かった。さっき澤井さんの所でバーテンダーを一人探しているという話があったな」と言って、すぐに紹介されてオリオンズへ行きました。その場で決まっちゃったんですけれど。
K:ええ。そうなのですね。
元木さん:運が良かったというか、年齢的にも他のバーテンダーより上だったので、チーフバーテンダーとして入店出来たので幸運でした。
K:その時元木さんはおいくつ位ですか?
元木さん:25歳とかその位だったと思います。
K:ウイスキーの樽買いを検討していたのはその時期ですか?その頃より1~2年位後でしょうか?
元木さん:そうですね。
K:何だか元木さんの年表が出来そうですね。
元木さん:やはり25、6歳位でしたね。
K:その位の年齢ですと、お店の中でもう上の方なのでしょうか?
元木さん:若いスタッフが多かったですね。
K:その頃はお客様の感じも華やいでいましたか?バブルの後ですけれど。
元木さん:「超」はつかないですが忙しかったですよ。
K:そこで1番出されていたカクテルは?又は元木さんがお得意とするカクテルは?
元木さん:得意というか、Barに飲みに行けばよく注文するのはマンハッタンですね。作るのも好きですが。
K:マンハッタンはどういうレシピですか?
元木さん:ライウイスキー、スウィートベルモット、アンゴスチュラビターズ。
K:アンゴスチュラビターズ?
元木さん:置いてないBarはないと思いますよ。
K:ボトルを見ればすぐに分かりますか?
元木さん:ビターズボトルに入っています、でも1滴しか使いませんけれど。
K:香り付けですか?
元木さん:ほんの少しの香りや風味付けです。(3へ続く) (1へ戻る)
※当時のインタビューのまま掲載、移行しております。
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