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私の好きなウイスキーの世界や、Barでの出来事を通じて、

特に女性に興味を持って頂いたら嬉しいです。

単独インタビュー第6弾 ロングインタビュー 「ウィスク・イー ソサエティ・スペシャリスト兼アドバイザー 元木 陽一さんを迎えて(4)」

KQ3:ところで蒸溜所で働かれていたと伺いましたが、その事を教えて頂けたらと思います。 

元木さん:2003年から2005年までスコットランドのアラン島におりました。 

K:2年間ですね。 

元木さん:その前からずっとワークパーミット(就労ビザ)の申請をしていたんですけれど、なかなか許可が下りずに困っておりました。 

K:はい。それはどうしてですか? 

元木さん:普通、私のキャリアなんかでは取れないからです。 

K:就労ビザですよね?

元木さん:英国の就労ビザは、習得が困難な事で有名でした。 

K:はい。 

元木さん:結構な年数を掛けて獲得したというよりも、向こうの企業が頑張ってくれました。アランの会社が頑張ってくれたわけですよ。あと、社長の角田とCEOのデイビッド・クロールが尽力してくれました。

K:はい。 

元木さん:スコットランドの蒸溜所が国外の人間を雇うという事は、ハードルが高いのです。現地にしても失業率が高いですし、日本人なんか必要ないわけですよ。 

K:ええ。 

元木さん:ましてウイスキーづくりをしていたわけではないし。 

K:はい。 

元木さん:こういう人材で必要だから雇いたいという事を、膨大なレポートにして英国の労働局に提出して審査を受けなければなりません。

K:はい。 

元木さん:それに伴って、アイル・オブ・アラン蒸溜所という会社が、現地の雇用も積極的に行っている事を証明しなければならないので、大手の新聞に何カ月も求人広告を掲載しなければなりませんでした。凄く経費が掛かるわけです。

K:ええ。 

元木さん:そこまでした上で、この日本人を採用しますという申請を行っていくわけです。膨大な時間の労力と経費を掛けてくれて心から感謝しております。それを強力にプッシュしてくれていたウィスク・イーの角田とCEOのデイビッド・クロールには感謝しきれません。しかしなかなかビザが下りなくて諦めそうになりました。そんな時にオリオンズの澤井オーナーに相談しました。彼は世界バーテンダー協会(IBA)で唯一の名誉相談役に就いておりました。その前は長年、IBAの副会長を務めていましたが「歳だから引退させてくれ」と会合で漏らした時に、その当時のイタリアの会長が「澤井を辞めさせはしない」と言って初めて名誉職が創設され、その第一号として名誉相談役の要職に就きました。イタリアやフランスのホテルのバーでは「SAWAI」と言えばかなり有名です。オリオンズのお客様がイタリアやフランスへ出張行く際、澤井の名刺を持って行きます。一言「よろしく」と書いてもらって。その名刺をホテルのバーテンダーに見せたら重々丁寧に対応され、しかも「お勘定は要りません」となった方も少なくありません。出張から帰って、すぐにお礼にいらっしゃいます。びっくりされてね。 

K:凄いですね。 

元木さん:最初は皆さん冗談だと思っていて、ホテルのBarで名刺を出すと「ミスターサワイ!」と言って「飲み代は要らない」と言われ驚くわけです。 

K:凄いですね。 

元木さん:その彼が世界中のIBAのトップに電話してくれました。澤井はアメリカで育ったので英語はペラペラでしたから。私の為に推薦状を書いて送るように頼んで頂きました。それの効果か定かではないですが、それを英国大使館に提出した後、奇跡的に就労ビザが許可されました。 

K:そうですか。以前お伺いした時に、「ウイスキーを好きになったから、本場で勉強したいと思った」と仰っていた事を覚えていますが、それで合っていますか? 

元木さん:合っています。ウイスキーをやっぱり作ってみたくなるじゃないですか。 

K:はい。 

元木さん:熟成によって魅力的な味になっていく様を確かめたかったのです。お酒を飲み始めてから、ずっとウイスキーを好きでした。しかし現地で正式に働く事がこんなに難しいとは想像もしませんでした。就労ビザもなかなか下りなかったので、英語の勉強をする気持ちも萎えてきてしまっていたので、向こうに行って英語は苦労しました。

K:ええ。 

元木さん:急転直下で就労ビザが下りたので、短い期間で家を引き払う準備や、船便で送る荷物の梱包に追われました。 

K:結局何年位掛かったのですか? 

元木さん:おぼろげながら「行きたい」と思ったころから3年以上は経過していました。 

K:それだけ掛かれば、気持ちも萎えてしまうのは当たり前の様な...。 

元木さん:自分の準備不足やキャリア不足もありましたが、萎えそうでした。 

K:当たり前と言ったら変ですが、モチベーションを高く持ち続けるには難しいですよね。 

元木さん:でも私の力ではなくて、行こうという気持ちがあっただけで実績もないし、だから結局はウィスク・イーをはじめ、周りの多くの方のサポートで運良く獲得出来たものですね。 

K:でも元々ウイスキーの蒸溜所で働きたいと思っていた事を最初にお伝えしたのは、どなたなのですか? 

元木さん:それは角田です、社長の。

K:角田さんなのですね。 

元木さん:たまたまお話しする機会があって。 

K:銀座のバーテンダーの時ですものね。 

元木さん:そうです。ウイスキーマガジン・ライヴ!もそうですけれど、ソサティのイベントやウイスキーイベントを開催する際に、ウィスク・イーの社内でBarの経験者がいなかったので、毎回お手伝いさせて頂きました。 

K:それではご縁がありという事ですね。 

元木さん:そうですね。そういった積み重ねで信頼して頂いたと思います。 

K:そうですね。有り難うございます。(5へ続く)  (3へ戻る)


※当時のインタビューのまま掲載、移行しております。

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