KQ9:私が定番にしている質問です。私はBarとウイスキーについて感動した出来事がありますが、元木さんは何かございますか?シチュエーションでも何でも良いのですが。
元木さん:Barの感動はいっぱいある、難しい質問ですね。何だろう(考え込む元木さん)Barだとお客様が色々な出来事を報告しに来てくれるじゃないですか。
K:ええ。
元木さん:例えば、「今、好きな女の子がいて、アタックして来ます!」と言ってお店を後にして、後日「この前女の子に声を掛けてどうだったの?」と話が続いてその後、結婚まで行ったら嬉しいですよね。Barの世界、お酒の世界に携わっているとやっぱり何かの節目節目でお酒を飲むわけじゃないですか。
K:そうですね。
元木さん:結婚を決め、その報告をしに来てくれる。結婚を決めた人を連れて来てくれる。
K:いいですね。
元木さん:又、残念ながら逆に別れたなんて報告をしに来てくれる人もいるし。懺悔するお客様もいたり。
K:確かにそうですね。
元木さん:シャンパン開けようか、とか。飛び切り旨いマンハッタン作ってくれとか。マンガのレモンハートと同じですよ。
K:ええ。
元木さん:そういう意味だと。
K:そうですね。
元木さん:ただおしゃべりしたくて、来る人もいるし、なんか報告したくて来るんですよ。あれどうなったの?とか。
K:ええ。
元木さん:でもそういう場所ですよ。初めてスコットランドへ行った時、泊まったダフタウンの小さなB&B(ベッド&ブレックファースト)があって、そこはとても印象に残っています。「俺って、今スコットランドにいるんだな」と。そこは「ファイフアーム」という名前です。ダフタウンの中央にある時計台の至近にあるので、宿泊された事があるウイスキーファンも少なくないと思います。それと、もう1つスコットランドアベラワーにある「マッシュタン」というパブに行きました。まだ店内工事中で、もうちょっとで開店する予定だなんて言って中に入れさせてもらって、ビールを飲みながらそこの店主のネルさんとお話させていたのも思い出に残っております。そこを見て、その時鈴木さん(THE MASH TUNオーナー)が、マッシュタンという名前を付けようと思ったんじゃないかなと。
K:ええ。
元木さん:新しくスペイサイドウェイというお店が開店した時、スペイサイドウェイを歩いてみたかった。そのマッシュタンのすぐ近く。スペイサイドウェイを歩いた時、マッシュタンに寄って、スペイサイドウェイを歩いて、感動しましたね。「スペイ川だ」って。
K:ええ。
元木さん:スコットランドだと結構いいパブがたくさんあるけど、その中でもとりわけ好きなパブですね。でも現在は店主が変わってしまったのが残念ではあります。
K:ええ。そうでしたか。有り難うございます。
そして最後です。Q:10:ウイスキーを愛する方々に是非一言お願い致します。
元木さん:難しいですね。ウイスキーを飲んでいる人、凄く飲み慣れている人が、飲み手1人1人の好みが違うというのを認識して飲んで頂けると嬉しいですね。
K:はい。
元木さん:よくあるんですけれど、「そんなの美味しいって言っちゃうの?」という空気を作って欲しくないなと。
K:そうですね。
元木さん:それがその個性が面白いからモルトウイスキーが成り立つと思っていて、認めてあげられる許容が欲しい。許容が深いというか、広い気持ちで飲んでもらえたらいいなと思います。
K:ええ。
元木さん:テイスティング会で、例えば「ゴム臭い」とか「パフュームが出ている」とからダメなんて言う方もいらっしゃいますが、そういうのも美味しいと思う方もいるかもしれないじゃないですか。
K:そうですね。
元木さん:そういう空気を絶対作ってもらいたくないですね。パフューミーが好きな方もいっぱいいますからね。それはそれじゃないですか。個性を愉しむものなのに、人の好みを否定する飲み方をする人は、あまり褒められたものではないですね。
K:そうですね。確かにそうですね。
元木さん:広い意味で、様々な個性を認めていける様なモルト愛好家の方が増えてくれるといいなと思います。
K:以前はなかったのですか?
元木さん:少なかったわけじゃないですけれど、飲む方が増えただけ。だから、そういう方も増えている。私も凄く気を付けているし。でも内輪で飲んでいる時は、自分の好みがあるから「これ好きじゃないな」と言っちゃう時はあるけれど、テイスティング会の場所ではどれも面白いね、という気持ちがないと。否定しながら飲んでも面白くないですよ。
K:そうですね。
元木さん:粗探しして、粗探しする方が多いですよね。
K:「これは...」と考えて、
元木さん:「イマイチだな」と言う人。
K:何をその方が1番だと考えているのか分かりませんけれどね。色々と召し上がっている方もいるでしょうけれどね。
元木さん:許容が広い方が愉しめますよね。
K:そうですね。私がウイスキーを面白いと思ったのは、美味しいなと思う種類が多いと思ったのですよね。そう思ったのです。全部が好みかと言われたら、まだ難しい話ですけれど、凄く幅が広いなと思って。まだ不得意な物もありますけれど、これだったら、モルトだったら私全部大丈夫だなと思ったのですよ。凄く良いなと思ったのですよね。
元木さん:でも良い飲み手も増えていますよ。そういう人たちが周りに良い空気を与えてくれたら。そんな風に意識しています。そうじゃないとただ嫌なだけ、知ったかぶりの人だけになったらつまんないですよ。
K:そうですね。そういうお話をしたい方は、そういう方達だけで集まって何処かで語り合う。
元木さん:深く語り合うのは良いですけれど、けなし合うのは…(笑)止めて欲しい。
K:(笑)
元木さん:一生懸命作っているのですから。
K:そうですよね。
元木さん:美味しくなるように思って作っているわけですから、たまたま口に合わなかっただけで、けちょんけちょんに言わないで欲しいな。
※取材協力
バーハイソサエティ http://www.parkhoteltokyo.com/japanese/restaurantsbar/restaurants02/index.html
ウィスク・イー http://www.whisk-e.co.jp/
※当時のインタビューのまま掲載、移行しております。
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